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不幸なりに幸せになる小説を書く三秋縋の作品をまとめてみる

上手く紹介する言葉が僕には見つからないので、本人のTwitterでの新年の挨拶(?)を晒しておきます。

最近は読書をする習慣もなくなりましたが、ここ1,2年で知った小説家で現在進行形で新作が出ればすぐに買いに行く数少ない小説家さんなこともあって今回は紹介記事を書いてみることにしてみました。

記事のタイトルに書いた通りで伝わっているかは疑問ですが、作品の雰囲気はどちらかと言うと暗めで、基本的に人生の終わりに直面している主人公のパターンが多いです。

人生の路頭に迷う主人公が、理解者的な女性と運命的な出会いをして、自分なりの幸せを見つける、誰もが妄想していそうなストーリーを切なくいい感じに書く、と言ったところでしょうか。

不思議な能力や奇跡が当たり前のように登場してくるのが、より妄想っぽい内容ですね。

僕はどちらかと言えば、リアル路線で書いた小説の方が好きだな、と思いつつもこう言うのも嫌いではないです。

今のところ発売されているのが、全6作品と紹介するには丁度良い数なので全作品にコメントを付けて紹介します。

スターティング・オーヴァー

デビュー作です。元々は2ちゃんねる「げんふうけい」名義で発表したものをリライトしたもの。

この作品だけは、特に文体に癖があるので、駄目な人は駄目かもしれないです

自分の人生が十年巻き戻されたことを知ったとき、僕は思ったよ。

「なんて余計なことをしてくれるんだ」、ってね。

不自由ない順調な生活を送っていた主人公がある日20歳から10歳の自分に戻ってしまう

つよくてニューゲームできるはずが、どこからか歯車が狂って、順調だった自分の人生の立ち位置を他の人物に奪われてしまう。と言う物語。

一週目の人生で栄華を極めた主人公が、二週目では恋人になるはずだった相手にもあっさり振られてしまい、挙句彼女をストーキングしてしまう惨めさや女々しさが心地よい。

三日間の幸福

これもリライト作品。いまちょうどジャンプ+で漫画版が連載されています

堕落した生活を送る主人公。お金に困った結果、やけくそで寿命を買い取ってもらうことにしたが、一年につき一万円だった

残り少ない寿命を監視員の女性に見張られながら過ごす物語。

余命幾許もない命でこれまでのちっぽけな人生を振り返ってみるが、ことごとく自らの選択や認識が間違っていた事実を突き付けられる。

いたいのいたいの、とんでゆけ

親友が自殺してしまった。以前その親友に言われた、「魂の交流」が成立していた文通相手に会い行くべきだ、との助言を実行するため久方ぶりに手紙を書いて公園に呼び出してみた。

相手は現れず飲酒運転をしながらの帰りに、ある少女を轢き殺してしまう。

少女の能力でその死を先送りにできたものの、もって10日間ほど。最期に復讐を果たしに行くことにした少女に協力をすることに

かつての文通相手。自殺してしまった親友。復讐する少女。美大生の気怠い隣人。複数の作品に分けられそうな魅力的な登場人物がギュッと詰まった作品。

君が電話をかけていた場所、僕が電話をかけていた場所

2冊で一つの作品。

顔の痣がコンプレックスだった主人公が受話器越しに会話をした謎の女に、痣を消してもらう代わりに初恋相手を射止める賭けに乗る。

三年ぶりに再会した彼女には、自分と同じ痣ができていた。

長編の割にいまいち記憶に残っていない作品。あまり不幸感がないからかもしれないし、話を引き伸ばせる作風ではないからなのかもしれない。

恋する寄生虫

クリスマスに電話の機能を停止する時限爆弾式マルウェア「SilentNight」をばら撒いた、極度の潔癖症で社会不適合者な主人公

ある日、まだ発動前で知られていないはずのウイルスのことをばらすぞ、と脅迫され寄生虫が好きな少女の話し相手になる。

個人的には一番好きな作品です

薬でも寄生虫でも幻覚でもなんでもいいから、幸せになれるもんなら幸せになってみたい。

恋する寄生虫 (メディアワークス文庫)

恋する寄生虫 (メディアワークス文庫)

おわり

自分が小説を書くとしたら、似たようなテーマを目指そうとするんだろうな、と共感できるところが好きな理由なのかも知れません。

そして、作者的にもちょっとおかしな需要を持つ誰かのために、小説を書いているらしい。

これからも頑張ってください。

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